今週のどげせん
前回、ドゲ先生にフルボッコにされた宇田川くん再登場の巻。
こういう週またぎで話を繋げてくるのはどげせんでは珍しいんだけど、宇田川くんがあのまますんなりクラスに馴染むとは思えないので、今回のお話は前回と合わせて一本の「宇田川くん登場回」なのだろう。
んでその宇田川くん、転入の挨拶代わりに「放か後おく上」と黒板に大書し、学校をシメると宣言。
いちおう進学校らしいのに「課」も「屋」も書けないとか、おまえどうやって転入試験パスしたんだ。
なんだか良くない力が働いた感じがプンプンするが、それはそれとして突然の番長宣言である。
樫宮高校2年のトップ、安定のリアクション芸人田中白也くんに作中最大の危機が訪れる。
環境利用闘法と観衆利用闘法を二本柱とするドゲ先生にとって、自分に敵対しない人間はすべからく武器である。
特に白也くんは、たまに刃向かいはするものの、ただリアクションするだけではなく自ら煽ることもできる、ドゲ先生の懐刀とでも言うべき存在だ。
そんな白也くんのピンチにドゲ先生が立ち上がる。
「君はまるで老子だね」
と、そう言えば古典教師だったドゲ先生の意味不明な物言いに宇田川くんは焦る。
前回の出来事がしっかりトラウマになっている宇田川くん萌え。
萌えだけど、これドゲ先生はしっかりジャブでダメージ稼いでるわけで、これに気づけない宇田川くんはやはりドゲ闘士としては三流である。
放課後、屋上には約束通り対峙する宇田川くんと白也くんの姿が。
逃げればいいのに、ちゃんと付き合ってあげるあたり白也くんいいヤツ。
気のいいイケメンが柘榴のように弾け飛んじゃう様を見るのは忍びないなー、と思ってたら、いつものようにカラスを引き連れドゲ先生登場。 毎度のように介入が始まる。
現れたドゲ先生はまず、宇田川くんの拳を「最強だ」と評価する。
その裏付けとして取り出したのが、前回のオチで手に入れた四十肩の診断書である。
宇田川くんの拳とはまるで関係ないが、ハッタリとしては十分。 ドゲ先生は畳み掛けるように宇田川くんの拳を褒めそやす。
さすがの宇田川くんも何かがおかしいと気付きつつあるのか、ドゲ先生にからかっているのかと尋ねる。
そこでドゲ先生が取り出したのが老子の逸話である。
昼に打ったジャブを布石に、ドゲ先生の致命的なストレートが宇田川くんに叩き込まれる。
ドゲ先生は、老子の弟子が、老子の偉大さを一目見ただけで悟ったという逸話を挙げ、宇田川くんは他と比べるまでもなく人類最強「人類王者だ」と断言する。
大きく出たドゲ先生の言葉に満更でもない宇田川くん。
頬を歪めて顔を赤らめ、呂律の回らない言葉でやんわり反抗する宇田川くんはすごく萌えるが、ヤバい一撃を貰ってるのになに悠長に構えてんだ。 死ぬぞウダガー。
ことここに至ってもまだ危機感の薄い愚鈍な宇田川くんに、ドゲ先生は容赦なく襲いかかる。
屋上に集まった生徒たちに、宇田川くんこそが人類王者であると同意を求めたのだ。
生徒の数は、白也くん含め目算で33人。 その全てがドゲ先生の観衆利用闘法の道具となり、惨劇が始まる。
「人類王者」「人類王者」とどよめく生徒たちの姿に、ようやくことの重大さを悟った宇田川くん。
人類王者は嫌だ、樫宮のトップでいいと、ことここに至ってようやくガードを固めようとする。
その脳裏を駆け巡るのは、人類王者と呼ばれる自分の姿だ。
相撲の横綱がどこに行っても横綱と呼ばれるように。
人間国宝が師匠と呼ばれ続けるように。
人類王者は学校でも、会社でも、年老い、死してからも人類王者と呼ばれ続ける…
そんな未来を予感した宇田川くんは、慌ててその称号を返上しようとするが、ドゲ先生はそれをあっさり却下。
動揺する宇田川くんを追い込むため声を上げたのは、やはり頼りになるリアクション芸の雄、白也くんであった。
「英語はどーだい?」
白也くんの提案に、人類王者は「ホモ・サピエンス・キング」略して「ホモキン」となった。*1
たちまち巻き起こる「ホモキン」コール。 語呂のおかしさに皆半笑いだ。
滅多打ちに滅多打ちで、ミンチよりひでぇ状態の宇田川くんが取った行動は…
膝を突き、握った拳は大地、頭を垂れて許しを乞うその姿… 人類王者宇田川くんの、渾身の土下座がそこにあった。
どよめく一同を前に、ドゲ先生は宇田川くんに声をかける。
宇田川くんの土下座は「返上土下座(サゲドゲ)」という、土下座の中でも高位の土下座であり、その姿は立派だと称賛する。
正直、単にフルボッコにされて謝っただけに見えるが、土下座の達人であるドゲ先生が言うのだから、宇田川くんは最後に立派な戦いを見せたということだろう。
満足げに立ち去るドゲ先生の姿を、もはや喧嘩どころではない宇田川くんと白也くんは黙って見送るしかない。
後に残されるのは、
「屋上や 兵どもが 土下の跡」
ドゲ先生会心の一句であった。
*1:どうでもいいけど、白也くん「○○キン」ってあだ名好きだな。 タナキンとか呼んであげたら喜ぶんじゃねぇの?